言いたい放題言いやがって
素人の浅知恵とすら呼べない知識を薄く重ねつつ、ドルコスト平均法という言葉に触れる。ざっくり私の理解を示すと、「相場変動をほぼ無視して毎月1,000円ずつ突っ込めば、長い目で見たらそんなに損しないかもよ」法だ。月々1,000円なら悪くない。というか、わけのわからんものに投資するのだから、それくらいが限界だ。スマホゲーのガチャに課金したと思えば感情も押し殺せるだろう。うん。悪くない。
ってか靴下買えるのは何年後なんだ？
そんな本末転倒の疑問も押し殺して、とにかく口座開設だけでもしてみようと、スマホのアプリストアで取引所のアプリを検索した。
どれもぱっと見では星の評価は上々だった。
が、レビューを見て少し冷静さを取り戻す。
★「評価損益がわからないのはあまりに致命的」
★「最初の使いやすさしかない」
★「サポートの対応が絶望的」
★「出金ができないです」
★★「初心者に警告！」
★「もはや相場との戦いではなくスプレッドとの戦い」
★「話にならないスプレッド」
★「『手数料無料』と誤解している人は使わないで！」
などなど、レビューコメントにはことごとく星1個が並び、酷評されている。取引所のアプリはほとんどがこんなテンションで、からっきしの初心者である私は、「じゃあどの取引所が良いのよ？」とすっかり困惑した。特に気になるのは、「手数料が高い」というコメントだった。ついさっきざっとネット記事を見た感じでは、ほとんどの取引所が手数料無料ってなっていたような……。
ということで、今度は「仮想通貨 手数料」的なワードで人類の集合知に検索をかけた。それで少しわかったのは、取引手数料が無料でも、「スプレッド」と呼ばれる差分額が取引所に抜かれるということだった。そしてそれを手数料と呼ぶ人もいるとのこと。まあそうだよね、手数料無料って取引所はどうやって収益上げてんの？とは当初に頭をよぎった疑問で、どうやらこれが取引所の収益になっているらしい。
結局、どの取引所も叩かれ、あっちの方がいい、こっちの方がいい、などとレビューされているので、とりあえず一つに決めて、ダウンロードしてみることにした。いいんだ、ガチャ引くようなもんなんだから。
それで個人情報の登録を進めていくと、本人確認の証明書の写真と自撮りをしろとアプリに指示された。ストアのレビューにもいくつかあったが、この撮影が曲者で、カメラに表示された指示「笑ってください」に従って、寝起きのサイコパスなスマイルをばっちり撮影され、「これでいいですか？」などと聞かれた日には一度スマホを置きかけたが、なんとか送信し終えた。
早ければ当日に済むらしいが、一か月経っても音沙汰ありません、なんてコメントも転がっていた。はたして本人確認が無事終わるのはいつになるのか。
続く？
靴下が欲しい
日頃から天気予報を見るでもないが、今日は良い天気になりそうだと思って、溜まりに溜まっていた洗濯物を古びた洗濯機に放り込んだ。
目が覚めたのは7時半くらいで、それからすぐさまそうしたから、洗い終わったのは８時過ぎくらいかなと思う。ステンレスの洗濯物ハンガーに下着やら靴下やらを挟みながら、いくつかの靴下が片方しかないことに気が付いた。整頓癖のないズボラにはよくあることで、朝から靴下が欲しくなった。良い靴下は要らない。無地の、それこそユニクロとかで一足４００円くらいの靴下が欲しい。
そんなことを思いながら、洗濯物を干して、パソコンを起こした。我が家にテレビはないので、朝のニュースはYoutubeで済ませるのも日課だ。おすすめされるニュースの断片を流し見ていく。その中で、テレ東のニュースが目に留まる。
２兆ドルの大台突破 暗号資産の時価総額（2021年4月07日）
金額に驚いたのではない。「暗号資産」という言葉から滲み出る厨二病感に心が躍ったのだ。それがいわゆる仮想通貨のことだとわかっていくらか辟易し、あーなんかよくわからんやつね、といつものように流してしまいそうになるが、せっかくなので「暗号資産」という言葉をググった。そういえばちょっと前の芥川賞作品が仮想通貨を扱っていたななどと思い出しながら、それで、いくらから取引できるの？ などと興味本位で、仮想通貨取引所の比較ランキングサイトなどを見漁った。ちなみに筆者は株もFXも経験はない。その手のあらゆる投資を経験したことはない。経済を学んだことなどこれぽっちもない。それでも仮想通貨初心者が気を付けるべきこと！ なんて手合いの記事もざっと読み進めた。
閲覧履歴によれば、読んだ記事はこんな感じ↓
数が多いですので興味ない人はスルーしてください。リマインドのため悪しからず。
寝ぼけたまま読み漁って、知らん単語やカタカナ語も気にせずこれらの記事を読み終わったころ、ふと思い至った。
私でもできるんじゃね？ 靴下くらい買えるんじゃね？
（これが後に人生最大の過ちになるのか、あるいは上向く契機となるのかは未来に判断を委ねる）
続く
